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三. 「とりあえず、あそこで一時休もう」 勘助が荒い息を整えながらそう言うと、冬馬も立ち止まった。もはや二人の体力は限界に近い。 「ここで見張りに立つ。愛花を寝かせてやれ。お前も少し休むがよい。」 いえ私が、と冬馬が言いかけるのを勘助が遮った。 「お前は愛花を背負って疲れたであろう。わしは後でよい。」 冬馬は黙ってうなずくと、荒れた本堂の中へと入っていく。 「剣術ばかりで、あれには何も教えてやらなんだ…」 勘助はゆっくり庭石に腰かけると、目を閉じてそう呟いた。 |
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四. 「ああ、これが愛花さまの…」 そう思うだけで胸が高鳴り、どうしていいかわからなくなった。しかし冬馬は必死に自分を抑えた。愛花を寝かせるべく自らの着物の袖を雑巾がわりにして床を清めていく。 |
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襟元を直して一息つき、足元に目をやると、太ももまでもがびっしょりと濡れている。 「愛花さま、お許しくだされ…」 おそるおそる手拭いを太ももへと伸ばした。 しかし、後はもういけない。冬馬は我を忘れていた。 |
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夕暮れ迫る薄闇の中で、冬馬は愛花の身体をじっと食い入るように見つめていた。 |
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気づかれやしないかとびくびくしながらも、冬馬はゆっくりと愛花の両脚を開いていった。 次第に広がってゆく脚は半ば立てられ、ちょうどがに股のような形になった。 冬馬の動悸がますます激しくなった。年頃の女子が普段このようなはしたない姿勢で股倉をさらすなど、閨房の中でもなければありえないのだから。 |
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「愛花さまの、女陰(ほと)が、み、見たい…!」 その強烈な思いに突き動かされ、冬馬は濡れたふんどしに手を伸ばした。胸は早鐘のように強烈に高鳴り、息苦しいほどである。しかし今更ここでやめることはできない。 |
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もっと近くで見ようと顔を近づけた冬馬は、そこから立ち上る牝の匂いにうっとりしていた。 「………っ!!!」 極度の興奮に我を忘れ、そこに口づけようとした瞬間、袴の中でどろりとした熱い迸りが広がり、冬馬は果ててしまった。 |
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五. なんということだ。あのまま果ててしまわなければ愛花さまを己の欲望で汚してしまったかもしれない。 「愛花さま、この命に代えても必ず守ってみせますぞ!」 冬馬は心の中でそう繰り返し叫びながらも、先ほどの夢のような出来事を反芻していた。 |
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