◇女ふんどし時代劇の歴史II◇

TEXT BY. はかせ。

◇ 時代劇ヒロインの新しい流れ ◇

 21世紀のふんどしブームと呼応するように、時代劇の世界でも新しい時代にふさわしいふんどしヒロインが誕生します。彼女の名前は「あずみ」
  小山ゆうの原作を見てもおわかりのように、あずみはふんどしを締めていることが明記された画期的時代劇ヒロインなのです! 太もも全開なミニスカ着物と黒マントのセクシー衣装、忍者と女剣士の要素を併せ持つ独自の設定、大胆な暴力描写と性描写。原作のヒットによる上戸彩主演での映画化('03年、'05年)、黒木メイサ主演での舞台化etc...それらが世に与えた影響はまことに大きく、女ふんどし時代劇を前進させる原動力となりました。
  残念ながら上戸&黒木のふんどし姿は実現しませんでしたが、その影響はVシネマ「女狼 妖艶乱蜜剣」('04年)、AV「あいか 女剣士VSくノ一」('06年)といったふんどし女剣士物の名作を生んでいます。特に「あいか」は主演の星崎あいかが六尺褌をきっちりと締め上げて演じるアクションふんチラと凝ったプロットが素晴らしく、映画版に不満を感じるふんどしファンの溜飲を下げる内容でした。ある意味映画以上に「あずみ」らしい出来と言えるでしょう。
 また21世紀の女ふんどしリバイバルのきっかけを作った映画「花と蛇」の2作目「パリ/静子」('05年)では杉本彩が袴の下に豆絞り柄の六尺褌を締めた凛々しい女剣士を演じ、妄想シーンとはいえ磔による処刑という時代劇ならではの凄絶な残酷エロスを描き出しました。
  他にも「水戸黄門」のC.A.L.が送り出した新ヒロイン「逃亡者おりん」('06年)は股旅スタイルの青山倫子が赤パンツを見せつけており、これが赤ふんだと脳内変換するとたまらないものがあります。設定の点でもくノ一で子持ちでレオタードに身を包んで戦うおりんは「あずみ」以来の非常に斬新なキャラクターです。 筆者はこの作品を題材にした時代劇AVが存在しないことが残念で残念でなりません!

 
       

 
映画版
「あずみ」
女狼
妖艶乱蜜剣
あいか
女剣士VSくノ一
花と蛇2
パリ/静子
逃亡者おりん

◇ 百尻繚乱!ふんどしくノ一の時代 ◇

  そして「あずみ」インパクト以降、新世代の女ふんどし時代劇を牽引した2大メーカーはTMC笠倉出版でした。 TMCのVシネマ「真田くノ一忍法伝 かすみ」('05年)は「あずみ」の影響を感じさせるシリアスな熱気あふれるくノ一アクションとしてヒット、09年までの6年間で全8作を数えました。映美・桃瀬えみる・秋月まりん・吉沢明歩・小宮ゆい・糸矢めい・七海なな・亜紗美・辰巳ゆい・倖田李梨とこのシリーズでふんどしを経験した女優は9人に上ります。
  一方、エロ忍法とやられ描写があり、ミニスカ+網タイツを取り入れた笠倉出版のふんどしくノ一シリーズは「忍法帖」からの影響が色濃く、05年〜08年にかけて重厚なふんチラアクション時代劇AV全9作を世に送りました。前述の「あいか」もそうですし、AVとは思えぬハードな展開で荒涼たる世界を描き出す「伊賀VS甲賀 くノ一戦勇記」('07年)、「三姉妹VS女剣士 くノ一凌辱秘奥義外伝」('08年)など傑作揃いです。
  VシネマとAVという違いはあるものの、ほぼ同一スタッフで制作されたこの2大シリーズは今まで時代劇では描かれてこなかった「本式の六尺褌を締めた女優がシリアスな演技や殺陣、からみまでこなす」という新コンセプトで女ふんどしエロスをクローズアップしてみせました。 世にはびこる「昔の女性の下着は腰巻以外にない」という根拠のない偏見を打ち砕き、「女ふんどしってエロいじゃないか!」と新鮮に感じる素直で新しいファン層を獲得したのです。
  他にもGPミュージアムの「隠密くノ一列伝」シリーズ('09年)は「かすみ」の良さをよく研究して作られた内容で、アクションふんチラに特化した1作目「秘められた女忍び」、ストーリー、アクション、お色気、拷問シーンがバランスよく配置された2作目「敵中突破!伊賀女忍者」と、どちらも一見の価値があるくノ一Vシネマの傑作でした。ここにきて女ふんどし時代劇はようやく定着したのです。
 
           
真田くノ一忍法伝
かすみ
伊賀VS甲賀
くノ一戦勇記
くノ一凌辱
秘奥義外伝
隠密くノ一列伝
(1作目)
隠密くノ一列伝
(2作目)

◇ 次々と起こる新しい波! ◇

  2000年代後半に大きく盛り上がった女ふんどし時代劇ですが、2010年を迎えると新しい波が怒涛のごとく次々とやってきました。これぞまさに女ふんどし界のニューウェーブ!
  まず老舗アタッカーズが遂に女ふんどしを導入したAV「くノ一拷問凌辱5」('10年)では、本編での演技やからみだけでなく、主演の水元ゆうなにふんどしを締め上げて感想を聞きながらインタビューをするという特典映像が衝撃でした! 監督と女優のサービス精神には頭が下がるばかりです!! 蕎麦屋の蕎麦湯、鰻屋の肝吸いとでも言えそうな、これぞ女ふんどし時代劇の生み出した新たなる醍醐味と言えるでしょう。
  「艶剣客 くの一媚薬責め」('10年)は人気官能ノベルの映画化で、官能時代小説でのふんどしブームがフィードバックした作品。ここでは吉沢明歩が赤もっこ褌一丁でチャンバラを見せてくれます。原作ではヒロインが「幅の狭い女下帯」を締めていると明記されており、これからのシリーズ化に伴いふんどしを締めた女剣士のエロティックな活躍が次々と映像化されていくことに大きな期待がかかります。
 またTMC期待の新作「つぼみ斬魔剣  宿命の生娘剣士」('10年)は、「処女を守るために貞操帯として六尺褌を締め込んでいる」という設定が画期的。ふんどしとは切っても切れない宿命を持つ巫女ヒロインを生み出し、主演の藤浦めぐのお尻に締め込まれたその本格的な浅締めの白六尺と共に強烈な印象を植え付けました。

  そして2011年、くノ一ブームの火つけ役「くノ一忍法帖」が13年ぶりに復活、新作「影ノ月」で遂に女ふんどしを導入したのです! この作品でくノ一を演じる西野翔森下悠里亜紗美はそれぞれ魅力的なふんどしを見せてくれます。従来のミニスカ着物+網タイツの定番イメージから脱却した斬新な衣装デザイン、キャラによって締め分けたふんどしとのコーディネートの妙と、最近のトレンドである女ふんどしの取り入れ方が絶妙であり、さすが本家、と唸らされる出来でした。
  この快挙によってそれまでのミニスカくノ一ブームの流れと女ふんどし時代劇の流れが完全に交わり、ようやく輪廻の輪がつながった気がして筆者はとても感慨深いものがあります。
  「影ノ月」ソフト発売と同月にはミニスカ着物からのふんどしチラリズムを追求したフェチ作品「悪代官に手篭めにされた褌くノ一」がラハイナ東海から発売されるなど、時代劇ふんどしシーンはさらなる盛り上がりを迎えようとしています!
 
 
 
 
 
   
くノ一拷問凌辱5
艶剣客
くの一媚薬責め
つぼみ斬魔剣
宿命の生娘剣士
くノ一忍法帖
影ノ月
悪代官に手篭め
にされた褌くノ一

◇ そして新たな伝説へ・・・! ◇

 ここまでお読みいただいた方々へ。「戦う時代劇ヒロインの下着はふんどしである」、このテーゼがしごく当然なものとして市民権を得るまでに10数年の長い道のりがあったことがおわかりになるでしょう。
  戦後時代劇の歴史は日本の伝統であるふんどしを不当に排除してきた歴史でもあります。それはふんどしという下着の持つ「セクシーさ」を一方的に「下品なもの」として捉え、これまた日本の伝統である「臭い物には蓋」的な態度で「なかったこと」にして覆い隠してしまったからです。しかし本当に良いものは決して消え去ることはありません。
  セクシーさ故に排除され続けたふんどしが結果的にそのセクシーさ故に復活し、しかも王道の時代劇ヒーローではなく、傍流ともいうべきくノ一・女剣士などの戦う時代劇ヒロインによって復権する。これは歴史の皮肉、というものでしょうか。時代劇はふんどしに対して今までの不当な排除を侘び、その償いをすべき時がやってきたのです!
  頑迷だった制作者たちの目がようやく覚め始めた現在、我々はこれからもふんどしくノ一やふんどし女剣士のセクシーな活躍に喝采を送り、新たなセクシー時代劇ヒロイン創造の瞬間を待ちたいと思います。
(この項おわり)
 
 

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