◇ ふんどしの定義 02 ◇

 ふんどしの持つ構造や締め方に対して非常に厳密な考え方をするなら、先にあげた3つに当てはまらないものは「ふんどし」ではありません。しかし現実には、一般の人達が呼ぶ「広義のふんどし」も存在しています。
 主に以下の3つのパターンが考えられます。
 

  前垂れのついた下穿きや上着、もしくは前垂れ布そのもの

  お尻の部分がTバックになっている下着や水着

  グラビア・映画における変則的ふんどし

 

 は原住民の人がつける腰みのや、ゲームやコミック・イラストの世界で見受けられるファンタジー系創作コスチュームを指します。
  六尺褌や越中褌のように「前垂れ布がある」という点だけで構造が異なるパンツ状のものも含めてそう呼ばれているので、当美術館ではあまり扱うことがありません。
  ただ実在の民族衣装である原住民系の腰みのはふんどしの発生〜進化の過程を考える際、非常に重要な存在です。今後、当美術館でも民俗学的な部分も含めた調査研究が必要なプレふんどしだといえるでしょう。

  のTバックスタイルは現在セクシー下着や水着の主流であり、一般の人はこれを単純に「ふんどし」と呼ぶことが多いのではないでしょうか。実際、「奇譚クラブ」を読んでいると、こだわりがあるはずのマニア諸氏でさえ単に面積の小さい下穿きを「ふんどし」と呼んでいるくらいですから、大らかに捉えている方は多いかと思われます。
  たしかに表面的な特徴だけを論じれば、「ふんどしとTバックは限りなく近い」ともいえます。 しかし構造的にみればTバックは複数の布をカットし縫い合わせて作った「ゴム紐を使用して自然に身体にフィットする」ものであり、あくまでも「穿く」ものです。
  しかし本来のふんどしは基本的にあくまで1本の長い布を自分で調節することによって「締める」ものです。ここに大きな違いがあります。つまりは「似て非なるもの」だということです。

ファンタジー系コスチューム
 
  それを他のジャンルで例えるなら、外見や生態は酷似していても哺乳類と有袋類に生物学上分類が分けられる「モモンガとフクロモモンガのような関係」だといえるかもしれません。
  「ふんどし」としての構造・特殊性を備えていない点、現在あまりにも該当例が多すぎる点を考慮し、当美術館ではこれをあえて「ふんどし」とは呼ばず、収集の対象から外しています。

  最後にですが、これはファンタジー系ムービーに出てくるふんどし風下着や、90年代ふんどしブーム時のグラビアにおけるふんどしです。
  これらは映画やグラビアの撮影に合わせてスタイリストによって作られたものなので、その形態はさまざまです。2本以上の布を組み合わせてもっこ風にしたもの、カラフルなパレオを流用したもの、ヒモ・ビニール・草といった、布以外の材質で締めたもの等があります。
  特にグラビアにおいてはセクシーさを強調するために作られているため実用性がほとんどなく、またふんどしに対する知識のなさが原因で、締め方がかなり怪しいものもあります。
  厳密にいえばたしかに「ふんどし」と呼べないものも混じりますが、宮沢りえや武田久美子といったグラビアアイドル達が世に与えた影響の研究を目的に設立された当美術館としては、これを積極的に評価し調査収集しています。
  なぜなら、材質や締め方が特殊でも、あくまで「締める」ものである点。
  Tバックのような市販品ではなく、布をカットするところから始めて個人仕様のハンドメイドなオリジナルを作っている点。この2点において評価しているからです。

グラビア風ふんどし
   

 この「ハンドメイド」という点はふんどしの成り立ちを考える時、非常に重要です。そもそもふんどしとは人間が太古の時代から身につけていた非常に原始的な下着です。最初は腰みののように皮や植物などいろいろな材質で作ったであろうし、ハンドメイドで締め方も適当だったはずです。はるかに時代が下ってふんどしが現在のように進化し、日常的に用いられていた江戸時代でさえも、市販品を使うというよりそれぞれの家庭で自作していました。
  その点を考え合わせると、はその出発点が同じであり、ふんどしがかつて持っていた原初的な形態とそのDIY精神を結果的に受け継いでいるといえます。このハンドメイド感覚や、装着者がセクシーな下着を自らの意思で締め上げるという自主性が、変則的ふんどしの最も魅力的な点だと筆者は考えます。

 
※本文内で使用されているイラストはふんどし少女同盟Muramasa Blade!様から許可をいただき転載させていただ    いたものです。
 
 

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