◆ その3 ◆
 
「海女のサイジ」
 
Q: 海女のサイジについて教えてください。

A: 「サイジ」は石川県の舳倉島(へぐらじま)の海女が身につける褌です。もともと長崎県の鐘ケ崎の海女集団が舳倉島と対馬の曲(まがき)の二手に分かれて移住したといわれています。
  舳倉島のサイジは前が布、後ろと腰は細縄で、お尻の食い込みのところの木の輪でそれを連結するタイプです。対馬の褌「へこ」はやや狭い黒い布を前後同じ幅で締めるもっこ褌型でした。昭和30年代の後半からウェットスーツの普及により、サイジは姿を消しました。
  大正時代の房総の海女は濡れた磯着を焚き火で乾かす間は前掛けを褌にして平気で通行人と話をしていた、と或る俳人の紀行文にあります。戦争中に千葉の御宿で海女をしていた女性の話に警察から磯着の下に越中褌を締めるように指導されてご亭主のを使った、という一節もあります。

石川県舳倉島の海女

  また戦後になってからの事ですが、海女さんが海に出る支度をして畑で野菜を摘んでいたらマムシに足を噛まれてすぐ病院に運ばれ、血清をお尻に注射するのでモンペを脱がされると越中褌が現れたのでお医者さんはびっくり…というエピソードも出ています。 アメリカの写真雑誌「LIFE」の昭和11年の創刊号で舳倉島の海女を報道していますが、説明が間違って「真珠採り」となっています。
  そういえばショーン・コネリー扮するジェームス・ボンドが日本で潜水する映画「007は二度死ぬ」(1967)の原作がイギリスの雑誌に発表されたときの挿絵はサイジ一本の海女とボンド氏が並んで潜水している場面でした。映画会社は舳倉島でのロケ(※)を申し込んだのですが、夏は鮑漁の書き入れ時なので漁業組合に断わられたそうです。

(※) もしロケが実現していたら、サイジを締めた浜美枝や若林映子の海女姿が見られたかもしれませんね。2人の海女は、さぞや魅力的だったでしょう。
  また日活映画 「海峡、血に染めて」 (1961) も対馬が舞台なので、清水まゆみ扮するヒロインの海女はへこを締めていないとおかしいはずなのですが…。

 
 
海女の身につけるサイジ
「日本以外の女褌」
 

Q: 日本以外に女性の褌はあるのでしょうか?

A: アフリカの或る部族とかアンダマン諸島とかフイリピンの山岳民族などの古い写真が残っています。どれも例外なくもっこ褌です。昔のタヒチ島の若い女性は六尺褌を締めたと思われます、印象派の画家ゴーギャンが100年以上前にタヒチ島の若い女性を描いた絵に腰巻姿と六尺褌姿があるからです。
  どちらかと言えば褌姿はティーンエイジャーの女性が多いのは活発に活動できる事と性的にまだ男の子と変わらない事からでしょう。年頃になれば大人の自覚が出来てラバラバ(腰巻き)を締めたと思います。
  アメリカの某大学の民族博物館に100年前の調査隊がサモア島で写した男女の六尺褌の写真が展示されています。どちらも中年の堂々とした体格の人たちです。サモア島の女性はずっと昔からラバラバ姿でしたから、その写真は人種的な特徴を写すため同じ褌姿になってもらったのかもしれません。 
 その他南フランスやスペインの海岸リゾートでの褌としか言えない女性の姿、ドイツのSMショップの相撲廻しを締めた女性力士のポスターなど、いろいろふんどしの話題は尽きませんが、一応この辺で。

どうもありがとうございました。

 
 

動画 アダルト動画 ライブチャット